中国のワニ

中国のワニと言えば揚子鰐(ヨウスコウアリゲーター)が有名です。

名前の通り揚子江下流の水域に棲んでいます。

揚子鰐は小さいので人に危害を加えるようなことはないようです。小さいとは言っても最長2メートルくらいにはなるようですが。

昼間は穴の中に潜み、夜に捕食活動を行います。冬の間は冬眠します。冬眠中のエネルギーを蓄えるために活動期の食欲は旺盛です。

揚子鰐の数は環境破壊などの影響で減ってしまったので、今では人工的に養殖してある程度育てたものを放流しています。

ワニ体内にチップを埋め込み、DNAのデータと紐づけることによって近親交配を避けるようにコントロールする手間のかけようから考えると、中国人は本気で揚子鰐の絶滅を恐れているようです。

絶滅の危機に追いやるのも人間なら、熱心に保護するのも人間。こういう二面性を見ると陰陽理論も「なるほど」です。

ワニ肉の神秘的な功能

ワニは古い医学書にも載っています。ただし「鰐」で探しても見つかりません。

このページ上部の画像に表示されている画数の多い文字がワニを表しています。漢字検定1級の人でも見たことがないのではないでしょうか。

この文字をウェブサイトで表示しようとすると文字が潰れてしまって何だかわからなくなります。

清の時代の漢方医学書である『医林纂要』によるとワニ肉のサーマルタイプはやや涼性です。

ではどのような効能があるのでしょうか?

古い医学書にはミステリアスな功能が載っています。ワニの肉は邪気や蠱毒(こどく)による病気の治療に効果があるというのです。つまりワニ肉は呪術的な作用を秘めた食材ということになります。

昔の医学は邪気や蠱毒などによる病気も治療の対象にしていました。薬膳も同じなのです。なお蠱毒について詳しく知りたい方は拙著『中国最凶の呪い・蠱毒』をご覧ください。

ワニの薬膳的な功能

現代の薬膳的な観点から見たスタンダードな効能としては「湿」の除去、補気などの作用があります。

息切れや足腰が立たないなど、かなり重症化した気虚の改善にも効果があるようです。

古い医学書を見るとワニは肉だけではなく脂や肝などが個別の薬として使われていたようです。このような使い分けがあるということは、ワニを捌く技術が発達していたことも物語っています。

現在の中国ではワニは食べることは食べますが珍しい食材です。ワニを食べたとなれば、ちょっと変わったものを食べたと自慢することができるレベルです。

もしかするとワニ肉は今よりも昔のほうが一般的な食材だったのかもしれません。

ワニの食べ方

中華料理の中にはワニ肉の料理はかなりたくさんあります。

例えばショウガとネギの香りを移した油でワニ肉を炒め、ニンニク、酒、塩、砂糖などで味を調える「姜葱鰐肉」は一見すると鶏肉料理のように見える料理です。

肉の味も食感も鶏肉に似ています。ただし獣肉に近い感じもあるので鶏肉と豚肉の中間的な肉と表現されることもあります。

砂糖と醤油の味で煮込む「紅焼鰐肉」は無難な一品です。紅焼肉は誰が作ってもそこそこの味になる料理です。大失敗するほうが難しいと言ってよいでしょう。

香草をたっぷりまぶして蒸す「蒸鰐魚肉」は肉の味をストレートに味わうには一番適した料理でしょう。

ワニの肉は火の通し方が難しいと言われています。特に炒め物は失敗すると肉が非常に硬くなるので煮物のほうが無難です。

自分の経験からも人から聞いた話からも、ワニの肉はまあまあおいしいと言えます。

さらに中国人は「補」の食べ物が大好きです。ワニ肉は「補」の食材ですから本来ならもっと消費されていてもおかしくはないはずです。

それなのに一般化していないのは不思議な感じがします。

古い医学書には「有毒」の文字がありますし、ワニを好んで食べていた人が病気になった話も記録されています。

もしかするとワニの肉を大量に食べたり日常的に食べたりすると何らかの問題が起きるのかもしれません。

世界にはワニがたくさん棲んでいる地域がありますが、そういう地域でもワニが食材として狩の対象になっているというイメージはありません(実際はどうなのかわかりませんが)。

ワニの肉にはポピュラーな食材になることができない何らかの秘密がある。そんな気がする今日この頃です。

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