淡水の食用貝の王様・タニシ

中国の国土は沿海部よりも内陸部のほうが圧倒的に広いので、中国人は淡水の魚介類を非常によく食べます。

魚はもちろんですが貝も食べます。そこが中国の食文化のひとつの特徴かもしれませんね。

淡水の貝の中でいちばんポピュラーなのはタニシです。

淡水産の貝はタニシの他にもたくさんあります。そんな中でタニシが人気なのは非常においしいからです。

タニシは日本にもいますし食用にもなるのですが、ほとんどの日本人は調理したことも食べたこともないでしょう。

なぜ日本ではタニシを食べる習慣が一般化していないのか不思議です。日本の人口は沿海部に偏在しているので海産の魚介類のほうがポピュラーになったということかもしれません。

しかし味の点から言えばタニシは捨てがたい食材です。中華食材として養殖すれば日本でもビジネスチャンスがあるかもしれません。

タニシ料理の準備

タニシを調理するときは準備に手間がかかります。

特に自分で採取してきた場合は先ず泥を吐かせる必要があります。手順は以下の通り。

大きなバケツなどにタニシを入れて全てのタニシが水をかぶるくらいの水を入れます。そのまま放置しても良いのですが鉄のクギなどを入れておくと早く泥を吐くそうです。

これは中国のタニシ料理店の厨房で言い伝えられている方法です。どうやらタニシは鉄が嫌いらしいです。

泥を吐かせてからさらに面倒な工程が待っています。ペンチで内臓と一緒にカラの先端を切り取ってしまうのです。

タニシの先端をひとつひとつ切り取るのはかなり面倒な作業。実は中国の消費者はこの手間を省くことができます。市場に行くと先端を切り落とした状態のタニシが売られているのです。

先端がついたままのタニシを買ったり、自分で採取して食べる場合は自分で切り落とさなければなりません。

この手間を惜しむとタニシの体内にいるタニシの「赤ちゃん」のカラを食べることになり、ジャリジャリした食感が口の中で大暴れしておいしくありません。 何とタニシは卵胎生なのです。

また内臓には泥が残っていることもあるので、初心者は先端を切り落としてから調理すべきです。

ちなみに切り取る位置は「らせんが2回巻いたポイント」です。これよりも上で切ると内臓が残るので「泥臭さ待ったなし」です。

タニシの養殖場の環境は水田に似ているので泥だらけ。結果的にタニシの内臓には泥が詰め込まれているのです。

カラの切り取り作業をすることによって味がしみ込みやすくなるだけではなく、空気の通り道ができるのでタニシの身を吸い出しやすくなるメリットもあります。

身を吸い出すなんて品が無いようにも聞こえますが、いちいちヨウジで身を引き出して食べるにはタニシは小さすぎるでしょう?

タニシの調理法

日本人が食べる巻貝と言えばサザエですね。

サザエはそのまま「つぼ焼き」にして内臓ごと食べます。

日本のツウの中にはサザエと同じようにタニシの内臓も「赤ちゃん」もまとめて賞味するスタイルを好む人もいるようです。

何日もキレイな水で飼って泥を吐かせれば、そういう食べ方もあり得ます。しかしこれはハラワタの野趣を求める上級者向けの食べ方ですね。

中国人は基本的にタニシの内臓は食べません。

荒っぽくペンチで内臓部分を切り去り、白い肉の部分を濃い味付けで調理するのが一般的です。

特に最近は繊細、玄妙な風味を味わうような味付けはしません。

サイズの大きなものは大量のショウガを入れた熱湯で茹でてから、小さいサイズのものはそのまま、山盛りのトウガラシと調味料を加えて炒めてしまいます。

調味料は醤油、豆板醤、オイスターソース、塩などです。サンショを加える四川風も大人気。

詫び寂び無用のかなり濃い味付けなのですが、タニシからはその濃い味にも負けないくらいのうま味が出るのです。

その濃厚なうま味こそが他の追随を許さないタニシの魅力です。

そのうま味だけを利用する方法としてタニシからスープを取る調理法もあります。そのようなスープを「螺蛳湯」といいます。読み方は[luó sī tāng]です。

螺蛳湯は単独の料理ではありません。ヌードル料理「螺蛳粉」のスープになるのです。 螺蛳粉についてはリンク先の記事をご覧ください。

タニシの薬膳的功能

タニシのサーマルタイプは寒性です。

タニシの寒性は非常に強いとされています。ですからトウガラシ、ショウガその他の温性の香辛料を使った中国の調理法は薬膳的には理にかなっています。

功能は清熱利水です。「むくみ」を改善するほか「湿熱」のケアにも効果的です。

また醒酒という効能もあります。つまり酔い覚ましですね。さらに体臭を改善する作用もあるようです。

体を強力に冷ますので虚寒(脾胃虚寒)の人には向かない食材です。 また産後の女性や生理中の女子も食べないほうがよいと言われています。もちろん風寒感冒のような実寒証のときも避けて下さい。

実際にはタニシだけを食べることは滅多にないので、他の料理とのバランスで体を冷やし過ぎないようにします。

タニシ料理と一緒に涼性の料理を食べるのは禁物。薬膳は個々の料理や食材の性質ではなく食事全体のバランスに注意することが大切です。

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