薬膳カレーと玉ネギ
カレーを上手に作るには玉ネギを刻んでチョコレート色になるまで炒めたペーストが必要です。玉ねぎの姿が見えなくてもおいしいカレーには必ず玉ネギが入っています。
玉ネギには意外にたくさんの糖分が蓄えられているので、熱を加えるとカラメル化します。それがカレーに甘みとコクを与えるのでカレーがおいしくなるのです。
カレーと言うとスパイスの使い方が強調されがちですが甘みは非常に大切です。例えばカレーに砂糖を入れるだけでも驚くほどおいしくなります。
でも砂糖ではあまりにも芸がないし単調なので玉ネギやフルーツで甘みを補うわけです。
もしあなたの彼氏がカレー作りに凝ってスパイスのブレンドを研究し始めたとします。その彼氏の作ったカレーがおいしくなかったらそれはスパイスのせいではありません。
玉ネギの炒め方が足りないせいです。玉ネギの甘みは十分に炒めて細胞を破壊しないと外に出てきません。ちょっと炒めたくらいでは不十分です。
そういう時はあなたが玉ネギを炒める役に回りましょう。きっと彼氏はあなたがいないとダメだと思ってプロポーズしてくれるハズです。
そろそろ本題に戻りましょう。
ガラムマサラの永遠のパートナーである玉ネギには薬膳的にはどのような作用があるのでしょうか?
玉ネギの功能
玉ネギのサーマルタイプは温性です。
玉ネギの功能はたくさんあります。
先ず胃をスッキリさせて食欲を増進させ消化を促進する作用があります。
また腸の潤いを増進して便秘を解消する作用があります。
さらに気の巡りを改善する作用もあります。

ガラムマサラにも同じ作用があるのでカレーという食べ物は飽くまでも「気を巡らせたい」料理なのです。
カレーと風邪
玉ネギには発散風寒という功能もあるとされています(文献による)。
これは薬膳理論を勉強したことのない人には謎としか言いようのない言葉でしょう。
発散風寒というのは「風寒」という病気のモトが体に侵入しようとするのを追い払う作用です。
具体的にはある種のカゼの引き初めにそれ以上悪化しないようにする作用です。カゼの引き初めにタイミングよくカレーを食べれば元通り元気になることができるのです。
ただしカゼが悪化してしまってからでは薬膳カレーも役不足になってしまいます。
発散風寒や解表(長ネギについての記事をご覧あれ!)はタイミングが大切です。病気のモトが深く侵入してしまうと別の方法を使わなければ治せません。

それからもうひとつ。
風熱というタイプの病気のモトが侵入しようとしているときはスパイシーなカレーはよろしくありません。
発熱して汗がたくさん出るのは風熱によるカゼですから、こういう時にはスパイシーなカレーは控えたほうがよいでしょう。
人間の体というのはよくできていて、カゼのときに激辛カレーなど食べる気にはならないのがふつうですけど、一応念のため。