サツマイモと薬膳

中国のサツマイモ

サツマイモはもともとはメキシコあたりの根菜だそうです。

ただしサツマイモは漢方のバイブル・李自珍の『本草綱目』に載っています。ということは明代の中国には伝わっていたわけですね。

中国でも日本の「ヤキイモ」と同じようにそのまま焼いて食べる習慣があります。ただし以前の「ヤキイモ」は水っぽくておいしくありませんでした。

中国のサツマイモは日本のサツマイモに比べて大きかったので期待して買ったあとでガッカリするという経験を何度もしたことがあります。

最近は日本の品種が導入されたらしく日本の「ヤキイモ」と同じ味のものが増殖中です。

農作物の世界には「良果が悪果を駆逐する」法則があるので近いうちに中国のサツマイモは小さいけどおいしい品種に置き換わると思います。

サツマイモはどんな薬膳食材?

『本草綱目』によるとサツマイモには益気、健脾、強腎陰などの効能があるとされています。

気は大きく分類すると「陽」に属します。ですからサツマイモは陽も陰も強める食材なのです。

また脾は後天の本、腎は先天の本と言われています。

脾は生まれた後で食べ物から生命エネルギーを取り入れる中枢であり腎は生まれる前から体内に具わった生命エネルギーの中枢だという意味です。

サツマイモにはこの両方の中枢を活性化する働きがあるというわけです。

清代の本草書『本草綱目拾遺』によるとサツマイモのサーマルタイプは平性、功能は涼血活血、益気生津、寛腸通便などとなっています。

この功能のうち益気生津は陽と陰の働きを助ける功能だと言い換えることができます。

また活血や寛腸通便は広い意味での「めぐり」を改善する作用です。

サツマイモが中国人の食文化に浸透するにしたがって新たな功能が発見されたということでしょう。

産後の女性は血のめぐりが悪化したり便秘になることがありますが、そういう人に適した食材だと記されています(産婦最宜)。

ちょっと余談ですが清の時代には皮が白い品種が現れていたようです。そういうサツマイモの功能は益肺生津となっています。

サツマイモは民間療法にも利用されていたようです。

酢と一緒に煮たサツマイモを食べると全身の「むくみ」が改善するとか、サツマイモを食べてから紹興酒を少し飲んで甘いショウガ茶を飲むと産後の腹痛が改善するなどの民間療法が記録されています。

サツマイモの食べ方

日本ではサツマイモの食べ方と言えばヤキイモかテンプラでしょう。

中国では「抜糸」という料理が有名です。読み方は「ばーすー」です。これは日本の「大学芋」に似た料理です。

「抜糸」の味は「大学芋」なのですが砂糖と絡めるときの処理が違います。

「抜糸」は切り分けて油で揚げたサツマイモを熱で溶かした砂糖と絡めて作ります。

出来立ては砂糖が液状なのですが冷えてくると砂糖が固まってきます。そのときにサツマイモをつまんで引っ張ると砂糖が糸を引いたように伸びて固まります。

さらに冷えて砂糖が完全に固まるとサツマイモの表面がガラスのように透明なパリパリの砂糖にコーティングされます。

見た目も食感も楽しめる「抜糸」は家庭で作るには手間がかかりますし砂糖を高温で溶かすのはちょっと危険なのでレストランで食べる料理だと思ったほうがよいかもしれません。

もうひとつ「紅薯餅」という料理もポピュラーです。

「紅薯餅」の「紅薯」はサツマイモです。

これは蒸したサツマイモをマッシュして小麦粉、たまご、砂糖を加えて円盤状に成型したものを焼いた料理(おやつ)です。

中に「あん」を入れたり表面にゴマをまぶすなどのバリエーションが豊富です。

「紅薯餅」は簡単に作ることができますから試してみてはいかがでしょうか。サツマイモを蒸すときに圧力鍋を使うと速いですよ。

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