トウガン

サーマルタイプ:涼性

味:淡 甘 

帰経:大腸 小腸 肺 膀胱 

功能:利水消腫 清熱解毒

トウガンの功能

トウガンのサーマルタイプは涼性ですから体を冷ます野菜です。

味は甘または甘淡とする文献が多いようですが、酸甘とする文献もあります(玉楸薬解)。

帰経は肺、大腸、小腸、膀胱とされていますが、脾肺(※1 滇南本草)、肺膀胱(玉楸薬解)、心脾(本草再新)とする文献もあります。

※1 滇南本草は霊芝(レイシ)という名前が初めて登場したとされる明代初期の本草書。

トウガンの功能は利水消腫です。体内の余分な水分を減らして「むくみ」を改善する作用があります。

薬膳理論の「利水」は「利尿」とは少し違います。体の中の「余計なモノ」をデトックスするという意味を含むので単に水分を減らす以上の意味があります。

この「余計なモノ」は余計な脂肪を含むのでトウガンは減肥食材でもあります。

ただし痩せるためにトウガンの薬膳を食べるときは、トウガンが体を冷ます食材であることをお忘れなく!

体を冷やしすぎると代謝が低下して逆に痩せづらい体質に変化してしまいます。

ご自身の体が冷えているかどうかはこのサイト内ツールで判定できます。

サーマルコンディション分析
このページの選択肢を選んで判定結果を見ると薬膳理論に基づいた現在の体の状態がわかります。さらに判定結果ページには現在の体の状態に合ったおすすめメニューへのリンクも表示されます。

またトウガンには魚の毒を消す作用があるとも言われています。

魚の毒というのは文字通りの毒ではなくて、魚による食あたりを防ぐ作用があるという意味です。

皮は漢方薬

トウガンの皮にもほぼ同じ効能があります。乾燥させたトウガンの皮は冬瓜皮という名前の漢方薬です。

中国の病院では冬瓜皮は今でもたまに使われる薬です。

薬膳的にはトウガン料理を作るときに皮も一緒に使うと効果が出やすいと言われています。

どんな野菜?

トウガンは中国野菜の代表的な存在です。もともと中国(インドも)原産の野菜だそうです。

今でも雲南省の南部には野生のトウガンが生えているそうです。中国原産ですから中国の食の歴史に早くから登場します。

どんな味も受け入れる透明な味と食感は和食にも通じる幽玄の世界。それに加えて大陸的な巨大な風貌。トウガンはその存在自体が魅力的な存在感溢れる野菜です。

トウガンの食べ方

トウガンは薄切りにして炒めたり、角切りにして煮物の具材として使われます。砂糖醤油で味をつける紅焼冬瓜は定番的な冬瓜の煮物です。

トウガンと言えばスープを忘れてはなりません。

トウガンのスープはバリエーション豊富です。いちばんシンプルなスープは調味料とトウガンだけで作る冬瓜湯です。

冬瓜湯にもいくつものバリエーションがあります。スープの旨味を干しエビからとるケースもあれば中華ハムから取るケースもあります。

精進料理の1品として作るときは塩、ショウガ、ネギだけで味を付けることもあるようです。

ブタの骨付き肉と一緒に作る冬瓜排骨湯はトウガンスープの代表例です。

またチキンスープとの相性もよいので冬瓜土鶏湯も人気のスープです。

冬瓜盅(とうがんちゅう)

広東にはトウガンを料理の器として使う冬瓜盅という料理があります。

まず冬瓜の中をくりぬき、その中に牛の幸や山の幸を加えたスープを入れます。そこにスープを注いで大きな蒸し器に入れ、15分ほど蒸して作ります。

15分以上蒸すとトウガンが崩壊してしまうので火を通しすぎるのは禁物だそうです。

冬瓜盅は手の込んだイベント用の料理という雰囲気ですが小ぶりのトウガンを使ったミニ冬瓜盅を家庭で作る人もいるようです。

琥珀冬瓜

皮をむいて切り分けたトウガンをさっと茹でて濃い砂糖水で8時間以上煮て作る琥珀冬瓜という料理があります。

通常「琥珀」は宝石の一種を意味しますが中華料理の世界では料理の技法を意味します。

一部がカラメル化して琥珀色になった砂糖を食材に浸透させた甘い料理に「琥珀○○」という名がつくのです。

琥珀冬瓜は文字通り琥珀色の透明な料理です。非常に手間がかかる美しく贅沢な1品です。

各種漬物

トウガンは漬物にもなります。

水分の多いあの野菜から本当に漬物など作れるのかと思ってしまいますが完熟していない冬瓜を切り分けてさらに乾燥させて水分を減らすなどの処理をすると漬物の材料になるのです。

トウガンの漬物には味噌漬け、塩漬け、醤油漬けなど様々なバリエーションがあります。

また切り分けた冬瓜をさっとゆでてパッションフルーツのジャムに漬ける百香果冬瓜という料理もあります。

トウガン自体に際立った味やクセがないので甘くしてもからくしてもおいしくいただけるというわけです。

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