コーリャンを薬膳的に使いこなす

雑穀ならコーリャンも忘れずに

日本では米と小麦が穀物の代表選手です。少しマイナーな穀物はソバでしょうか。

中国の食文化を見ると日本のソバくらいの位置にコーリャンが来ます。中国ではソバよりもコーリャンのほうがポピュラーです。

コーリャンはモロコシとかソルガムと呼ばれることもある小粒の黄色い穀物です。特に中国北方では一般的な食材です。

また中国を代表する蒸留酒「白酒」の原料もコーリャンです。中国の食文化とコーリャンは深く結びついています。

以前の中国ではコーリャンは貧しい食事とみさなれていたようですが、飽食時代に入った中国では健康食品として見直されています。

コーリャンの食べ方

コーリャンを粒のまま食べる場合は炊き込みご飯や「ちまき」のような料理に使うこともありますがお粥にすることが多いようです。

コーリャンは米に混ぜて炊けばそれなりにおいしいのですがコーリャンだけだと米に比べて食感がかなり劣るのでお粥にするのは「なるほど」の調理法です。

コーリャン粥のバリエーションは具材の数だけあるので可能性は無限大です。

中国ではアズキ、カボチャなどの野菜や貝柱やエビなどの海鮮粥の他にナツメなどの漢方薬を入れた薬膳粥が作られています。

コーリャンの粉も頻繁に使われる食材です。

コーリャンの粉だけをから作る蒸しパンのような料理もありますし、お好み焼きくらいの厚さに焼いたりクレープのように薄く焼く食べ方もあります。

コーリャンの粉は小麦粉と混ぜて使うことも多く、その場合には小麦とコーリャンの薬膳的功能を同時に効かせることができます。

コーリャンの薬膳的な効能

コーリャンのサーマルタイプは涼性です。

体が冷えている人がコーリャンを主食にする場合にはおかずのサーマルタイプを調整して食事全体のサーマルタイプが温性になるように工夫する必要があります。

コーリャンの功能は健脾和胃益腎、清熱解毒です。

わかりやすく言うと熱による胃腸のトラブルを改善する食材です。特に胃熱を改善する作用が優れています。

「食べ過ぎを食べて治す」でも紹介しましたが食欲が過剰になるのは漢方的には「胃熱」のサインです。

食欲を抑えられない人やどうしても食べ過ぎてしまう人、さらに間食が止められない人はコーリャンで「胃熱」をケアすることができます。

またコーリャンは生命エネルギーである「気」の生成を助ける働きがあります。それが健脾和胃益腎です。

このような効能があるのでコーリャンは高齢者、病後の人、産後の女性の体力回復に効果的な食材であると言われています。

ただし注意が必要です。「補」の作用が強い食材はたくさん食べればよいというわけではありません。

コーリャンは生命エネルギーを補う力が強いので「気滞」の人には向かない食材だと言われています。

気滞というのは気のめぐりが停滞しているという意味です。

気のめぐりが悪い部分には痛みが出たり血が淀んだりします。

また情緒が不安定になることもあります。

気のめぐりが悪い人の体に強力に気を補うとめぐりが悪化することがあります。そうなると痛みや情緒に悪影響が及びます。

ある人にとっては良い食べ物が別の人には良くないことがある。これが薬膳の難しさであり面白さでもあります。

最後に豆知識。

コーリャンでお粥を作ると表面に薄~い油の層ができることがあります。

この油の層を「米油」と言います。この場合の「米」はコーリャンを意味します。中国語でコーリャンは「小米」とも呼ばれるからです。

米油は朝鮮人参にも匹敵するほどの補薬としての効能があるとされています。

お粥を作って油の層ができたら大切に食べるべし!

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