中国人がカニを恐れる薬膳的な理由

中国人がカニを恐れる薬膳的な理由

中国は医食同源の国ですが中国人が全ての食材の功能(作用)を知っているわけではありません。むしろほとんどの食材の性質は意識されずに消費されています。

ところがカニのサーマルタイプは「常識」として誰もが知っています。カニのサーマルタイプはです。
中国では「カニは体を冷ます」は「政治家には愛人がいる」と並ぶ一般常識なのです。

カニのサーマルタイプがこれほど有名なのはどうしてでしょうか?

カニが体を冷ます作用は特に強いから。多くの中国人はそう考えています。

ところが専門書を読んでみるとカニが体を冷ます作用は特別に強いと考えられているわけではなさそうです。

気になる有毒の意味

気になるのはカニを「有毒」としている本草書がけっこうあることです。

漢方の世界の「毒」は非常に広い意味を持つので「有毒」の文字を見かけたら具体的にはどういう意味なのかを探る必要があります。

ヒントはやはり本草書の中にあります。カニは「動風」しやすい食材だというのです。言い換えるとカニを食べると「風」が起きやすいというわけです。

カニを食べると「風」が起きやすい?

そう言われても謎は深まるばかりです。これだから薬膳はわかりづらくてメジャーになれないわけです。

謎の漢方用語「風」

「風」は立派な漢方用語です。これまた非常に広い意味を持ちます。

風は平肝熄風、肝風内動、風邪犯肺など漢方の専門書の中には頻出する言葉です。ちなみに「風邪」もモトモトは漢方用語です。

風という言葉は大きく分けると病気の症状を表す場合と病気の原因を表す場合があります。

カニを食べると風が起きるという場合は、カニを食べると「風」と呼ばれるタイプの症状が出てくるという意味になります。

「風」と呼ばれるタイプの症状にもいろいろあります。

カニとの関係で言えば「風」はアレルギー症状を指すと考えてよいでしょう。さらに現代の日本では珍しくなった寄生虫感染症の症状も含まれると考えられます。

つまり昔の中国人はカニを食べるとアレルギーや寄生虫感染症に罹りやすいと考えていたのです。それを「カニは有毒」という言葉で表現しているわけです。

カニアレルギーは現代人にも少なくないですし、カニ(特に淡水のカニ)には寄生虫がいますからしっかり調理しないと危険です。そういう意味で「有毒」だというのであれば正しい認識なのです。

毒をどうする?

漢方の世界では「毒イコール絶対に避けるも」のとはなりません。「しかるべく対策すべし」となります。

例えば漢方薬の中にも「有毒」な薬はたくさんあります。そういう薬は使用禁止しするのではなく、毒を弱める薬を混ぜたり特殊な加工をして使います。

有毒の食材も同じです。

古い医学書にはカニは生食してはいけないとか、毒消しのためにショウガと組み合わせて食べるべしと書いてあります。

調理することで毒が弱まると考えられていたわけですが、これは寄生虫を死滅させるという意味で正しい対処法だったわけです。

もうひとつショウガと組み合わると毒消しになるというのは漢方的な知識というよりも中国では一般常識に近い知識です。

ショウガは温性

ショウガは温性でカニは寒性なので「カニを食べるときは必ずショウガを添えよ」というルールはサールタイプを整えるためだと理解される場合も多いようです。

この理解は間違ってはいませんが浅い理解です。ショウガは単に体を温めるだけの食材ではないからです。

カニを食べるときに必ず添えるべきだとされているショウガの役割は「毒消し」であり「動風」予防が主眼です。

この中国古来からの知恵が有効ならショウガにはアレルギーを抑制する成分が含まれているに違いありません。
実際にそのような目的でショウガを使う人もいるので、廃れずに残った伝統医学にはまだまだ多くの可能性が秘められていると思う今日この頃です。

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