アケビと漢方薬

アケビと木通

漢方薬の中に「木通」という名の薬があります。これはアケビのツルをカットしたものです。

木通は中国では非常によく使われる薬です。日本の漢方薬の中にも入っています。

ところが木通には「腎毒性」があるというのです。中国ではあまりにも多用される薬なので大々的に報道されたこともあります。

そうだとするとアケビの実は安全なのでしょうか?

アケビ、木通、腎毒性の関係を探りましょう。

木通と毒性

結論から言いますとアケビには腎毒性はありません。

ところが現在の中国では「木通」はアケビではなくてキダチウマノスズクサという別の植物から作られることが多いのです。

この傾向には地域性があって四川省・雲南省・貴州省ではアケビ、その他の地域ではキダチウマノスズクサが使われることが多いようです。

漢方の専門家はアケビから作られる薬を「木通」、キダチウマノスズクサから作られる薬を「関木通」と呼んで区別しています。

毒性があるのは「関木通」のほうです。

関木通も毒性があることを前提に使用量や服用期間に注意して使えば安全に利用することができます。

毒性がある「関木通」を毒性がない「木通」だと思って長期間服用したり大量に服用した場合に問題が起こるのです。

民間では両者を「木通」と呼んでいたので混同されることが多く加工後の見た目も似ていることから木通という名前なのに実際は関木通が使われることが珍しくありませんでした。

そのせいで予期しないトラブルが発生することもあったようです。

ちなみに木通は非常によく使われる薬なので今でも中国で漢方薬を購入すると「関木通」が含まれている可能性が高いです。そのような薬を飲み続けると危険です。

漢方薬は長いあいだ飲まないといけないと考えている人が多いようですが長いあいだ飲んではいけない薬もたくさんあるのです。

漢方薬や漢方サプリを利用するときは専門家のアドバイスを参考にしましょう。

アケビの実

中国では木通に腎毒性があるという報道の影響で「木通は危険だ」というイメージができてしまいました。

アケビの実を中国語で「三葉木通果」といいます。

名前の中に「木通」の文字があることからアケビの実を食べるのは危険だと思う人もいるようです。

インターネット上には「アケビの実を食べると死ぬ」と聞いたけど本当か? という質問まであるくらいです。

「木通」に付着してしまったネガティブなイメージから逃れるためにアケビ生産者は「八月瓜」という名前を流行らせようとしているようです。

アケビの実はブ厚い皮に包まれたゼリー状の実です。

形状は中にタネがたくさんあるバナナを想像していただければ近い感じになると思います。

タネが多いので好みの差はあると思いますが味そのものは嫌いな人はいないと思います。

甘くてクセがない味です。

薬膳的功能

ゼリー状の部分だけではなく皮の部分にも漢方薬としての薬効があります。

サーマルタイプは涼性です。

功能は利尿、通乳、通絡です。

ざっくりいえば「めぐり」を促進する作用があります。

アケビの実はほとんど流通していないので食べたいなら自生しているアケビの実を採取するか自分で栽培するのが現実的でしょう。

栽培と言うとおおげさですが実はアケビは観賞用(盆栽など)として栽培している人がかなりいる植物です。

日本に自生しているアケビは葉が5枚に分かれているものと3枚に分かれているものがあります。

3枚に分かれているほうが実が大きいようです。

実を食べるために栽培するなら3枚葉の品種を選ぶとよいでしょう。

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