蘇東坡は食養生の達人

蘇東坡は食養生の達人

中華料理を代表するブタの角煮料理と言えば「東坡肉」です。日本でも読み方は中国式に「トンポーロウ」ですね。

「東坡肉」の「東坡」は北宋時代の詩人であり政治家でもあった蘇東坡(スートンポー)の名前から来ています。

蘇東坡は政治家としても詩人としても有名ですが今でいう料理研究家と栄養士を合わせたような食のエキスパートとしても知られています。

政治家としての蘇東坡は歴史の教科書に出てきますし詩人としての蘇東坡は国語の時間に出会ったかもしれません。

今回は蘇東坡の知られざるもうひとつの顔をご紹介しましょう。

食のエキスパート

日本ではあまり知られていませんが蘇東坡は『問養生』や『茶論』など飲食についての本を残しています。

当時の教養人は医学や養生の理論に通じていましたからそうした中で一家言あるということはかなりのエキスパートだったわけです。

その蘇東坡は食について次のような見解を残しています。

まず健康に良い食事は「蔬食淡味」だと言っています。

野菜をたくさん食べること、うす味にすること、油を多く使わないことが健康の秘訣だというわけです。

これは現代の常識と重なる達見ですね。

さらに空腹になる前に食事をしたほうがよいと言っています。

空腹になってから食べるとついつい食べ過ぎるので体によくないというわけです。

唾液健康法

また蘇東坡は唾液の働きを重視していました。

よく噛まなければ食べられない食材をかむことによって唾液を出すことにより健康を保つことができるというわけです。

実はこの考え方は中国には昔からありました。

あの曹操も「唾液健康法」を実践していたと言われていますから蘇東坡の時代にはすでに千年以上の歴史がある健康法なのです。

十分に唾液が出るまでよく噛むことは現代医学の観点からも十分に根拠がある健康法です。昔の中国人はそのことを体験的に知っていたのでしょうね。

蘇東坡が好んだ食材

蘇東坡はいくつもの薬膳料理を発明して自分自身の健康を管理していました。場合によっては病気の治療にも薬膳を使っていたのです。

そういう薬膳には漢方薬が使われる場合もあります。また日本では手に入りにくい食材を使う場合もあります。

このような薬膳の内容を知っても日々の食事に生かすことができません。

そこで日本でもポピュラーな食材を使った蘇東坡お気に入りの食材を紹介しましょう。

ひとつはアズキです。

アズキは「脾」の働きを邪魔する「湿」という悪玉をデトックスする作用がある食材なので、頻繁に食べると体が浄化される効果があります。

また漢方理論によると「湿」は肥満の原因ですから「湿」をデトックスしてくれるアズキには減肥効果もあるのです。

日本でアズキというと「あんこ」の原料というイメージですが甘い「あんこ」に含まれる砂糖は「湿」を生み出す性質があるのでデトックスのためには別の食べ方が効果的です。

ではどうすればアズキを飽きずに食べられるのでしょうか?

蘇東坡はアズキ粥にして食べていたと言われています。

日本には定着していない食習慣ですが中国では朝食にお粥を食べる地域は少なくありません。

お粥は胃にもたれないので朝粥を続けていると体が軽くなります。朝にアズキ粥を食べればデトックス以上のメリットが期待できますよ。

蘇東坡が好んだもうひとつの食材はサトイモです。

サトイモには体に侵入した病気のモトをデトックスする作用があります。さらに空腹感を軽減する作用があるので食べ過ぎ防止の作用もあります。

つまりサトイモもダイエットにも効果があるワケです。

蘇東坡の好きな食材を漢方理論から見るとデトックス作用があるものが多いことに気づきます。

ふだんから食べ物に注意している人でも体の中に「余計なモノ」が溜まるのは仕方がないのかもしれません。

それを除去するような作用がある食材は定期的に食べたほうがよいのでしょうね。

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