薬膳カレーと豆の功能

カレーの中の豆

都市伝説かもしれませんがインド人は毎日カレーを食べているそうです。

日常食がカレー化している(と言ってもインドではカレーという単語はほとんど使われないそうです)インドでは具材は日本で食べるカレーよりも多彩になるのは必然です。

インドでは豆カレーはごく一般的な料理らしいですね。そこで今回は豆カレーを薬膳的に考えてみたいと思います。

日本のインド料理店で「本格インドカレー」と銘打った豆カレーには「ひよこ豆」が使われることが多いようです。

インドではひよこ豆の他にも非常にたくさんの種類の豆が使われているようです。さらにインゲン豆や大豆、緑豆など日本でもなじみ深い豆も使われています。

残念ながらインドで使われている豆の中には中国の食文化に浸透していないものもたくさんあり、そういう豆については薬膳的な評価が定まっていません。

ひよこ豆も薬膳的な作用がはっきりしません。豆の効能にこだわって薬膳豆カレーを作るなら薬膳的な評価が定まった豆を使うことになります。

大豆カレーの功能

大豆は豆カレーの定番的な材料です。大豆のサーマルタイプは文献によって評価が異なり、平または温です。

このように文献によって情報が異なる場合は通常は温性がそれほど強くないと考えればよいでしょう。ちなみに黒大豆のサーマルタイプは平または寒です。

大豆の功能は健脾寛中、潤燥消水です。ここにも「健脾」が出てきました!

「健脾ってなによ?」と思った人はビールについての記事をご覧あれ。

薬膳理論から見たビール
薬膳的にいうとビールの功能は開胃健脾です。開胃健脾の「開胃」は食欲を促進するという意味です。もうひとつの「健脾」は漢方界では重要なキーワードです。ただし一般的にはほとんど知られていない言葉です。ということで、まずこの知られざるキーワードについて説明しましょう。

潤燥消水は一方で体を潤しながら、もう一方で潤い成分が停滞して「余計な物質」に変化することを防止する作用があることを意味します。

ただし潤いを補う作用のほうが強いので、食べ過ぎると体にとってよくない物質が溜まってしまいます(多食生痰)。

ちなみに黒大豆の功能は活血(血の巡りを改善する)です。

大豆カレーには体の潤いを回復させる働きがあります。また母乳の出を促進する働きもあります。さらに便秘解消効果もあります。

一般的にスパイシーな食べ物は体の潤いを奪う性質がありますから、カレーの具材として大豆のような潤いを回復させる食材を組み合わせることは理にかなっています。

インゲン豆カレーの功能

インゲン豆のサーマルタイプは平。

功能は温中下气、利腸胃、益腎補元などです。

言葉は難しいですが排便を促す作用体を温める作用があると思って下さい。

インゲン豆のカレーは便秘解消カレーなのです。

また益腎補元は成長・生殖をつかさどるエネルギーを増強する作用です。もっと平たく言えば「子作り力増強作用」です。

新婚さんはこういうカレーを食べて元気をつけてください。もちろん新婚さんじゃなくてもいいですけど。

緑豆カレーの功能

緑豆は日本では「緑豆もやし」として消費されることが多い豆ですが、豆そのものもさまざまな料理に使える重宝な食材です。

緑豆のサーマルタイプは寒。

功能は清熱解毒です。

リョクトウ(緑豆)
リョクトウは体を冷ます食材です。効能は清热解毒なので熱から来るトラブルの改善に用いられます。

清熱解毒は体の過剰な熱を冷まして熱から発生する様々なトラブルを解消する作用です。例えば赤いニキビや口臭などは熱によるトラブルです。

ちなみにこの場合の「熱」は体温とは関係ありません。詳しくは「熱」についての記事をご覧あれ!

一般的なガラムマサラ(というよりもほとんどのスパイス)は温性なので熱が溜まった体には適していません。

緑豆カレーで熱を冷ましたいときはスパイシーではないカレーを作るとよいわけです。

インドカレーは辛いとは限りません。辛くないカレーをレパートリーに入れてこそ薬膳カレー作りが可能になるのです!

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