緑茶と紅茶の薬膳的飲み分け

緑茶と紅茶の薬膳的功能は?

緑茶、コーヒー、紅茶など毎日飲むものは長いあいだに体のコンディションを変えて行きます。

毎日飲む飲み物の薬膳的な効能を知っておくと体の状態に合わせた飲み物の選択ができるようになります。一杯の紅茶からでも薬膳を始めることができるのです。

今回はお茶の薬膳的な効能についてご紹介しましょう。

緑茶と紅茶はもともとは同じ植物の葉なのですが薬膳的な効能は違うとされています。

大きな違いはサーマルタイプの違いです。

緑茶のサーマルタイプは涼性です。

紅茶のサーマルタイプは温性です。

お茶のタイプを選ぶときは自分のサーマルコンディションに合わせるのが原則です。

体が熱を持っているなら緑茶ですし体が冷えているなら紅茶が適しています。

緑茶の功能

緑茶の功能はたくさんあります。

緑茶は涼性なので暑苦しさを軽減する作用があります。

また緑茶は頭をスッキリさせ眠気を覚まします。これは多くの人が経験的に知っている功能でしょう。

緑茶には消化を促進する作用や利尿作用もあります。

さらに「化痰」作用があります。

「化痰」の「痰」は私たちが日常「痰」という言葉であらわしているモノとは違います。薬膳理論の「痰」は体の中にできる「体にとって余計なモノ」です。

「痰」は内臓の機能を邪魔するので体調不良の原因になります。

「化痰」はその「痰」をデトックスするという意味です。

緑茶の涼性は『本草綱目』で陰中の陰と言われるほど強いとされていますので体が冷えている人には向きません。

ただし薬膳の作用は食事全体で考えますから温性が強い料理を食べた後に緑茶を飲むとバランスが取れた食事になることもあります。

お茶そのもののサーマルタイプよりもどんな食事の後に飲むかのほうが重要です。

紅茶の功能

紅茶にも消化を促進する作用と利尿作用があります。この点は緑茶と共通しているわけです。

緑茶と大きく違うのは体を温める作用がある点です。

特に「温胃」作用があるとされています。これは内臓の冷えを改善して胃の機能を清浄化する作用です。

また「養陽」作用があるとされています。これは陽のちからを強めることによって寒さに対する抵抗力を強めることを意味します。

発酵度が進んだお茶

お茶には発酵の度合いによってさまざまな種類があります。

有名なウーロン茶は緑茶と紅茶の中間的な発酵度です。日本人が「中国茶」と聞いてイメージするお茶の多くはこのタイプのお茶です。

中国南方の特産品として有名なプーアル茶は紅茶よりも発酵が進んでいます。

お茶の性質は発酵の度合いによって変わります。発酵が進んだお茶ほど温性が高まるとされています。

体を冷やしたくない人は発酵度の高いお茶を飲むとよいわけです。

季節の飲み物

薬膳は体の状態に合わせて選ぶものですが一般的に言えば暑い夏は緑茶が適していて寒い冬は紅茶が適していると言えます。

このような「季節の薬膳」や「季節の薬茶」というものは人々の生活がナチュラルな場合に成立します。

薬膳理論(漢方理論)が成立した古い時代には人の体が環境の変化とシンクロしていたので「夏は緑茶、冬は紅茶」のような図式でも大きく外すことはなかったわけです。

ただし現代人の生活は「夏は暑い」とは限りません。クーラーのせいで体が冷えている場合もあります。

現代の薬膳は昔以上にひとりひとりの体の状態を判断してから始める必要があります。

ご自身のサーマコンディションを判定するにはこのウェブサイト内のツールをご利用ください。

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