「不安感」は未病のサイン
カゼを引くとモチベーションが下がり体の調子が良いと前向きの発想になりやすい。
このように体のコンディションと心のコンディションは一体です。
不安感のようなネガティブな情緒は性格の問題だと考える人もいますが、薬膳理論によれば情緒や感情はその時の体のコンディションを反映しています。
言い換えれば体のコンディションを意図的に変化させることによって情緒や感情をコントロールすることができます。
不安感のように好ましくない情緒は薬膳的なケアによって改善できます。
心の薬膳ケア
感情や情緒には日々の変化や小さな波があります。
誰でも何となく「不安感」にとらわれることもあります。ふつうなら気にならないようなことが心配になることもあります。
薬膳理論によればそのような心の動きは生命エネルギーのバランスが崩れ始めていることを示しています。
そのようなときにバランスを回復するような食べ物を選ぶことによって心のケアをすることができます。
薬膳ケアのスタートはコンディションの分析です。
「不安感」が出てくるコンディションにはいくつかのタイプがあります。それぞれのタイプに応じて食べ物を選ぶのが薬膳ケアです。
インナーバランスと情緒
“体のコンディションを変えると情緒も変わる”という場合の”コンディション”は伝統的な用語では”証”と呼ばれています。このウェブサイトでは“インナーバランス”と表記しています。
インナーバランスというのは私たちの命を支えるいくつかの生命エネルギーのバランスです。
その中でも最も重要なバランスは陰と陽のバランスです。このほかにも寒熱のバランスや気の状態もインナーバランスの一部です。
心気虚
気が不足すると不安感が生まれます。特に「心」の気(心気)が不足すると情緒への影響が強く現れます。このような人は不眠になったり夢をたくさん見たりします。
心気虚の原因は食べ物の偏りです。ですから薬膳ケアで改善しやすいのです。
気虚の人は体が冷えていることが多いことに注意してください。
薬膳ケアをするときにはまずサーマルコンディションを分析して体が冷えているなら薬膳のサーマルタイプを温性に設定します。
その前提で補気作用がある食材を積極的に使うようにすればよいでしょう。
心陽虚
体を温める生命エネルギーが低下して「冷え」のサインがハッキリ現れた状態を陽虚と言います。特に「心」の陽が不足すると心のコンディションに大きな影響が及びます。
心の機能が低下しているという意味では心気虚と同じですが、心陽虚は心気虚がさらに悪化した状態です。
薬膳ケアをするときはサーマルタイプを温性に設定します。
その前提で補陽作用がある食材を積極的に使うようにします。
ただし補陽作用がある食材は限られていますから、補陽作用がある食材だけでは飽きてしまいます。そのような場合には補気作用がある食材でも効果が期待できます。
陰虚
陰が不足する(これを陰虚と言います)と情緒が不安定になります。陰が不足すると陽の動きを制御できなくなり、必要以上に情緒が刺激されるからです。
陰虚の場合も不眠になることがあります。また腰や膝にだるさを感じたり、寝汗が多くなって利します。またからだの状態は「熱」に傾きます。
陰虚で「熱」がある場合には積極的にからだを冷ますのは得策ではありません。
この場合には陰を補う薬膳が適しています。