カゼの薬膳ケア

風邪(カゼ)の薬膳ケア

風邪は漢方用語で「ふうじゃ」と読みますので、この記事ではカゼと書くことにします。

まず最初に確認しておかなければならないことは薬膳の重要な役割は病気の治療ではないということです。病気にならないようにケアするのが薬膳の役割です。

病気になってしまってから薬膳を始めるのはタイミングが悪すぎます。薬膳で病気をケアするという考え方は通常は危険な考え方だと思って下さい。

ただしカゼの時に薬膳ケアをすればこじらせずに済みますしタイミングが適切なら「カゼっぽい」段階で治ってしまいます。

ふだんから体のサインに気をつけて「ここぞ!」というときにはカゼ薬膳でケアしましょう!

薬膳ケアのスタートは「体の状態を知るところから」です。

カゼのケアも同じです。カゼのときのコンディションは人それぞれです。漢方でケアするときはかなり細かく分類してケアしますが、薬膳の場合は大きく分けて3タイプを区別すれば大丈夫。

順番に紹介しましょう。

カゼにはどんなタイプがあるの?

薬膳でカゼをケアするには風寒感冒 風熱感冒 暑湿感冒の3タイプを区別する必要があります。それぞれケアの方法が違うからです。

特に風寒感冒と風熱感冒・暑湿感冒では薬膳的なケアの方向性が真逆なので、食べ物の作用がマイナスに働かないように注意しましょう。

風寒感冒

悪寒が強く透明な鼻水が出るのが風寒感冒のサインです。汗の量が少ない点も重要な区別のポイントです。

薬膳理論によると風寒感冒の原因は「寒邪」です。寒邪によるカゼ症状は実寒の一種ですから風寒感冒をケアする薬膳のサーマルタイプは温性にします。

また解表作用がある食材を使って「寒邪」を追い払います。

温性で解表作用がある食材はネギやショウガです。風寒感冒のケアにはネギとショウガたっぷりのアツアツうどんをおすすめしています。

風熱感冒

濃い痰がでたりのどが痛くなるのは風熱感冒のサインです。

風寒感冒と比べると発熱も激しいことが多いです。汗の量が多いのも重要なポイントです。

季節的には春から秋にかけて多いとされています。

カゼの症状が出る前にのどの違和感を感じることが多いので、その時点で薬膳ケアを始めると効果的です。

薬膳理論によると風熱感冒の原因は「熱邪」です。熱邪によるカゼ症状は実熱の一種ですから、涼性の薬膳でケアします。

さらに体に侵入しようとしている熱邪を追い払う作用がある食材を使うと効果的です。

ミントには熱邪を追い払う作用があります。

ちなみにミントを薬膳的に使うときはガバーっと使ってください。ミントの葉を1枚か2枚使っただけでは彩り的な意味しかありません。

中国では小さめのコップにいっぱいのミントを入れ、そこにスプライトを注いで飲む飲み方をみたことがあります。

葉を揉んでから使わないとスプライトに風味が移りません。ミントそのものは食べずに風味を楽しむ清涼飲料です。

また熱によるトラブルを改善する作用(清熱解毒作用)がある食材を使うと症状が楽になります。大根や緑豆には清熱解毒作用があります。緑豆湯(緑豆の粥)は中国では定番です。

暑湿感冒

いわゆる「夏カゼ」の多くは暑湿感冒です。下痢や腹痛などの消化器系の症状を伴うのが特徴です。

薬膳理論によると夏カゼの原因は暑と湿です。

暑への対処は熱への対処法と同じなので暑湿感冒のケアには風熱感冒のケアと同じ方法が有効です。

さらに「湿」を減らす作用がある食材を積極的に使うと胃腸のコンディションが早く回復します。

例えばヤマイモやニガウリには「湿」を減らす作用があります。

重要ポイント

カゼの薬膳ケアをするときには体を冷ますか温めるかをハッキリ区別しないといけません。

悪寒が強い風寒感冒の場合は体を温めるタイプの薬膳が適しています。

風寒感冒の場合も体温を計ると平熱以上に上がっているのがふつうです。体温が平熱よりも上がっていても薬膳理論的には「実寒(体が冷えている)」と判断することがあるので注意してください。

鼻水の状態(透明でさらさらか黄色くてネバネバか)や体感(悪寒が強いか暑苦しいか)などのサインを参考にしてサーマルコンディションを判断してください。

もうひとつ重要なのはカゼの兆候を察知したらすぐにケアするというタイミングです。

サラリーマンやお子さんは健康に無頓着な人が多い。ちょっとくらい体調が悪くても気にしない人もいます。

薬膳理論を勉強したら家族の体調の変化に気を配り、健康に無頓着な人たちを密かにケアしてあげましょう。

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