昼間から眠いのは食事のせいです
しっかり寝ているのに昼間でも眠気を感じることがあります。
薬膳理論によればそれはインナーバランスが乱れている証拠です。漢方用語では嗜睡(しすい)と呼ばれる病的な状態なのです。
そういうときこそ薬膳でしっかりケアしましょう。
嗜睡の原因
嗜睡の原因は大きく分ければふたつです。
ひとつは生命エネルギーの不足です。
漢方治療では生命エネルギーが不足する原因に遡って治療しますが、薬膳では不足しているエネルギーを補うことでケアするのが現実的です。
生命エネルギーの不足は気が不足するタイプと血が不足するタイプに分かれます。
気の不足
「気」が不足すると活動性が低下して眠く感じるだけではなく食欲が低下し体が重く感じるなどのさまざまなサインが現れます。
簡単に言うと「元気がない」状態になるのです。
この状態が悪化すると体を温めるパワーが足りなくなり「冷え」を感じるようになります。
薬膳的なケアをする場合には「冷え」がある場合には薬膳のサーマルタイプを温性にして補陽作用がある食材を積極的に利用します。
補陽食材の種類は限られているので補気食材で代用することもできます。
「冷え」のサインがない場合には薬膳のサーマルタイプは平性にします。
やはり補気作用がある食材を積極的に食べて「気」を充実させます。
ここまでは基本的な薬膳の考え方です。
もう少しレベルの高い薬膳を作りたい場合は気が不足する原因を考えるとよいでしょう。
気が不足して眠気を感じる人の多くは「脾」の働きが低下していることが多いとされています。
ふつうの生活をしているのに「脾」の機能が低下している場合は食習慣の影響で体内に「湿」が溜まっている可能性が高いと思って下さい。
そういう場合は健脾食材と「湿」をデトックスする「化湿」食材が有効です。
ヤマイモなどの食材を積極的に使うと気を補いながら脾の機能を改善できるので一石二鳥です。
血の不足
薬膳理論の「血」は精神活動の源泉です。
血が不足する(血虚と言います)と意識レベルが下がり眠く感じるようになります。それだけではなくて顔色は白っぽくなり立ちくらみやめまいが起きやすくなります。
このタイプの嗜睡をケアするには補血作用がある薬膳が適しています。
ただし血は気と津液から作られるので、気と陰を補うことも有効です。
ふつうの食事をしているのに昼間でも眠いと感じる人は食材のタイプに偏りがあります。
当面は補血作用がある食材をつかって血の不足を補うとよいでしょう。
「めぐり」の問題
嗜睡のもうひとつの原因は「めぐり」の悪さです。
精神活動は血の栄養と気の作用に支えられていますが特に血の「めぐり」が悪化すると精神活動の中枢に十分な栄養が届かなくなります。
そうなると意識レベルが低下して昼間でも眠く感じるようになります。
このタイプの人には頭痛を感じたり肌が乾燥するなど嗜睡以外にも血のめぐりの悪さを示すサインが現れます。
薬膳的なケアをする場合にはまずサーマルコンディションを判定します。
「冷え」によっても「熱」によっても「めぐり」は悪くなるので体の寒熱バランスを整えるように薬膳のサーマルタイプをセットしてください。
そのうえで理気作用や行血作用がある食材を積極的に取り入れて料理を作るとよいでしょう。