ドライアイの薬膳ケア

ドライアイの薬膳ケア

漢方理論によるとドライアイは陰虚のサインです。陰虚というのは「陰」が足りないという意味です。

ですから薬膳的にドライアイをケアするには補陰薬膳を食べればよいわけです。

ここまでは基本です。通常はこの基本通りのケアをしていればよいでしょう。シンプルイズベストです。

さらに詳しく

ドライアイは陰虚なのですが、もう少し詳しく言うと肝腎陰虚 気陰両虚 陰虚湿熱の3タイプがあります。

難しそうな言葉が並んでいますね。順番に解説いたしましょう。

肝腎陰虚

初級段階では体の中の陰の総量が多いか少ないかを考えて薬膳を作ります。漢方治療でも「陰虚なら補陰でケア」が基本です。

でも上級者になると体のどの部分の陰が足りてないかを考えます。

漢方薬の中には特定の部分の陰をチャージするのが得意な薬があるので、例えば「腎」の陰が不足している場合には「腎」の陰を補う作用が強い薬を使うと効果的です。

そこで特定の部位にピンポイントで陰をチャージするために「どこの陰が足りないか」を探るわけです。

ドライアイになりやすいのは「肝」と「腎」の陰が不足しているときです。

腎の陰は重要な生命エネルギーの一種です。ですから「腎」の陰が不足するということは体が老化していることを意味します。ただし「腎」の陰が不足している人は精神的にも肉体的にも活発に見えます。

なぜかというと陰のエネルギーが弱いせいで陽のエネルギーを抑えることができないからです。ですから「腎」の陰が不足している人はイライラしたりセカセカしている印象を与えることになります。

薬膳でも肝陰を補う作用が強い食材とか腎陰を補う作用が強い食材というものがあるので、そういう食材を使えばピンポイントでのケアをすることもできなくはありません。

例えばクワの実、クコ、ゴマなどには肝腎の陰を同時に補う作用があります。

気陰両虚

気陰両虚は文字通り「陰」だけではなくて「気」も不足している状態です。漢方の世界では発熱を伴うような病気に罹ると気陰両虚になりやすいと考えられています。

例えばカゼを引いて熱が出たとします。しばらくしてカゼは治りますがドライアイになってしまうことがあります。こういう場合は気陰両虚の可能性が高いわけです。

別のパターンもあります。それは「脾」の機能が低下して「気」の生成が足りなくなるパターンです。

「気」が不足すると「陰」にも影響が及びます。「陰」はほとんど全ての臓器の働きに助けられて生成され、体内をめぐっています。

「気」は臓器を働かせる生命エネルギーですから「気」が不足すると臓器の機能が低下して陰の量や「めぐり」にも悪影響が及ぶわけです。

気陰両虚をケアするには陰と気を補えばよいわけです。ただし気陰両虚の基本的な問題は「気虚」のほうですから実は補気がかなり重要です。

中国では気陰両虚のケアの基本は「健脾」だと言われています。これは「貧しい人を助けるには魚を与えるのではなく魚の捕り方を教えるべきだ」と同じ考えです。

「健脾」すれば「気」を補わなくても私たちの体が自発的に気を生成することができるようになるからです。

気陰両虚のひとは疲れています。ぐったりしていてしかもドライアイの人には陰を補うだけではなく気を補う食べ物や健脾作用のある料理を提供すると効果的です。

陰虚湿熱

陰虚湿熱は「陰」の不足だけではなくて体の中に「湿」という余計なものが溜まって熱を発生させている状態です。

「湿」は病気をきっかけにして溜まることもありますが、ふつうの人の場合は「湿」が溜まりやすい食習慣が原因で増えてしまいます。

「湿」が溜まると脾の機能を低下させます。「湿」には脾の働きを邪魔する性質があるからです。そうなると気陰両虚のところで説明したのと同じ理由で陰の不足が悪化します。

しかも「湿」が生み出す熱によって陰はさらに消耗してしまいます。このような理由で陰はどんどん足りなくなってしまうのです。

陰虚湿熱の最大の悪ダマは「湿」です。ですからこのタイプのドライアイをケアするには湿をデトックスする必要があります。

もうひとつ注意があります。

陰の不足を直接解消する作用がある補陰食材は「湿」を増やす可能性があります。なぜなら「湿」はもともとは体にとって有益な「陰」の成分だからです。

ですから陰虚湿熱をケアするときは一方で陰を補いながらもう一方で「湿」をデトックスする必要があります。そうしないとせっかくの補陰によって反って「湿」が増えてしまうからです。

一方で与えながら一方でデトックスをするのは「補」と「瀉」の組み合わせです。

薬膳はバランス重視のフードセラピーです。「補」と「瀉」のバランスは陰虚湿熱のケアに限らずいつでも大切なポイントです。

結局どうすればいいの?

ドライアイの薬膳的ケアは「補陰」が基本です。

陰虚湿熱のように不用意に「補陰だけ」してはいけない場合もありますが、実はそれほど神経質になる必要はありません。

陰虚湿熱はかなりインナーバランスが乱れた状態です。本格的な陰虚湿熱になるとドライアイ以外にも胸や腹の不快感、食欲不振、熱感、頻尿、頻繁な便意など「病気」としか言いようのない状態になります。

これほど重症のケースを薬膳でケアする場面はありませんから、ふつうは補陰をしてもデメリットはありません。

できれば湿をデトックスする「化湿」作用のある食材と組み合わせるようにするとよいでしょう。

また薬膳の場合は補陰の作用が「どこに効くか」よりもからだ全体の陰陽バランスをケアすることのほうが重要です。

なぜかというとインナーバランスがそろほど乱れていない段階では私たちの体に具わった自発的にバランスを回復しようとする作用が働くからです。

陰を補っていれば自然に肝や腎の陰も回復してきます。

薬膳で大切なのが完璧な薬膳を作って「病気を治してやろう」という発想よりも「今よりもバランスを悪くしないようにする」ことです。

そうすれば体は自然にバランスを回復してくれます。

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