薬膳の基礎知識:「陰」って何?

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「陰」ってなに?

陰は体を冷ます作用を持つ成分です。

陰と陽のバランスが良いときに体の状態は熱にも寒にも偏りがありません。

陰よりも陽が強いと体は余計な熱を持ちます。陽よりも陰が強いと体は冷えてしまいます。

陰と陽のバランスを整えて体の寒熱のバランスが偏らないようにするのが薬膳の第一の目標です。

陰と美容

陰は体の潤い成分でもあります。

陰が不足すると体が余計な熱を持つだけではなく肌が荒れたり便秘になったりします。

だからと言って陰は多ければ多いほどよいというものではありません。

陰が多すぎると体にとってよくない物質に変化してしまいます。薬膳理論によると肥満も多すぎる陰が原因です。

陰は少なすぎても多すぎても美容上の問題が出てきますから、陰のコントロールは美容薬膳の中心課題です。

特に肌のコンディションを若々しく維持するためには陰を不足させてはいけません。

陰と薬膳

薬膳作りの基本的な考え方は「陰が多すぎるときは温めてデトックス、足りないときは補う」です。

もう少し詳しく解説しましょう。

陰が多すぎるとき

陰が多すぎると大きく分けてふたつの問題が発生します。

ひとつは体を冷やしすぎるという問題です。

もうひとつは多すぎる陰が体にとってよくない物質に変化してしまうという問題です。

陰が多すぎて体が冷えているときは体を温めるタイプの薬膳が適しています。

体が冷えているから温める。これは常識的な話なので分かりやすいと思います。

陰が多すぎて体にとってよくない物質に変化してしまった場合は、そのような物質をデトックスする作用がある食材を選びます。

例えば薬膳理論によると肥満は陰が形を変えて体に溜まった状態です。

ですから薬膳的に減肥するためにはデトックス作用のある食材を選ぶことになります。

多すぎる陰は肥満のモトになるだけではありません。内臓の機能を低下させたり気や血の巡りを悪化させてしまうので、さまざまな体調不良の原因になります。

漢方の世界では原因がよくわからない体調不良の多くは、こうした「陰から変化した余計な物質」が原因だと言われています。

ですから肥満解消作用がある薬膳を食べるとハッキリした原因がつかめない体調不良が改善することがあるのです。

陰が足りないとき

陰が足りないときも大きく分けてふたつの問題が発生します。

ひとつは体を冷ます作用がが弱すぎて体が熱を持ってしまうという問題です。

もうひとつは体の潤いが失われるという問題です。

陰が足りないせいで体が熱をもっている状態を「虚熱証」といいます。読み方は「きょねつしょう」です。

虚熱証のときには体感的にも体が熱を持っている感じがするので体を冷やすタイプの薬膳が適しているように思われがちですが、実は特にひどい虚熱証でない限り体を冷やさないほうがよいのです。

体を冷やすということは体を温めるエネルギーであり「陽」を消耗するので、からだ全体の生命エネルギーが低下してしまうからです。。

虚熱証の原因は陰の不足ですから、これをケアするには陰を補う作用がある薬膳が適しています。

こういう薬膳を補陰薬膳と言います。

陰が不足して体の潤いが失われると肌のキメが荒くなり乾燥しやすくなります。それだけではなく便秘やドライアイなどの原因にもなります。

このような場合も補陰薬膳が適しています。

なおページトップの画像は陰を補う作用がある漢方薬・麦門(バクモン)です。

補陰薬膳の注意点

陰は増えすぎると「体にとって余計なモノ」に変化しがちです。この「体にとって余計なモノ」には多くの種類があります。

詳しく知りたい人はインナーバランス・トリートメントのテキストをご覧ください(ただし中級レベルまで読まないといけないのでちょっと大変です)。

「体にとって余計なモノ」ができてしまうと、さまざまな体調不良の原因になりますし美容上も悪影響があります。

ですから陰を補うときには体の中に「体にとって余計なモノ」が溜まらないように工夫をするとワンランク上の薬膳になります。

ちなみに陰を補うタイプの漢方薬の組み合わせにはほとんどの場合にこのような工夫が施されています。

陰は「流れ」「めぐり」がストップすることで「体にとって余計なモノ」に変化します。ですから「流れ」「めぐり」をスムースにすることが大切です。

またいったんできてしまった「体にとって余計なモノ」をデトックスする作用がある食材をプラスすることで「体にとって余計なモノ」が溜まらないようにすることもできます。

「体にとって余計なモノ」が溜まらないようにする方法はいくつかあるので、中級レベル以上のかたは補陰薬膳を作るときに単に陰を補うだけではなく「体にとって余計なモノ」が溜まらないようにひと工夫するとよいでしょう。

陰の状態を知るには

陰の状態は変化するのでその全てを理解するのは大変です。

薬膳を作る場合には陰が多いと体が冷え、陰が少ないと体が熱をもつという基本が重要です。

この基本を忘れずに陰陽のバランスを整えていれば体の潤いを自然にキープすることができます。

このウェブサイトでは基本的なインナーバランスを自動的に判定するツールを公開しています。

このツールを使えば日々の食事が陰陽バランスを整える薬膳に大変身しますよ。

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