薬膳の基礎知識:解表(げひょう)薬膳・外感病と内傷病

解表作用

長ネギなどの功能のひとつに解表(げひょう)という作用があります。

薬膳用語には馴染みのない言葉がたくさんありますが解表もそのひとつですね。

では解表とはどのような作用なのでしょうか?

これを説明する前に私たちが病気になるのはどうしてかを説明します。

病気の原因

薬膳理論によると病気になるパターンは大きく分けてふたつです。

ひとつはインナーバランスが乱れて病気になるパターンです。

もうひとつは病気のモトが体の外から体の中に入って病気になるパターンです。

内傷病

インナーバランスが乱れたせいで病気になるパターンを漢方用語で内傷病と言います。

内傷病は食生活を含む生活習慣やメンタルストレスなどの影響で徐々に体調が悪化する慢性病です。

通常は正常な状態からだんだん病気に向かって行くので病気になる手前で異常を察知すれば病気を予防することができます。

薬膳をやっているとふだんから体のコンディションを意識することになるのでコンディションの悪化に早く気づくことになり内傷病を避けることができるようになります。

病気になる手前でインナーバランスを調整して病気を回避することを未病治療(みびょうちりょう)と言います。

外感病

体の外から病気のモトが侵入して病気になるパターンを漢方用語で外感病と言います。

病気のモトは肌や肺から体の中に入ろうとします。漢方理論によると肌のコンディションは肺のコンディションによって変化します。

ですから肺の機能が弱くなると病気のモトが侵入しやすくなります。

また病気のモトから体を守るのは衛気(えいき)という気の一種です。ですから気のエネルギーが低下すると病気が悪化しやすくなります。

ここでこの記事のテーマである解表の話に戻ります。

解表は病気のモトが体に侵入しようとしているときにその病気のモトを追い払う作用です。

多くの場合は汗を出して汗と一緒に追い出します。ですから解表を発汗解表と書くこともあります。

漢方薬のいわゆる「カゼ薬」は漢方用語では「解表薬」と呼ばれるタイプの薬です。

細かいことを言うと解表薬にもいくつかの種類があります。

なぜかというと病気のモトにはいくつかの種類があり、その種類に応じて解表薬の使い分けをすると効果的だからです。

どんなときによいの?

「病気のモトが体の中に入ろうとしている」というのは、わかりやすく言えばカゼの引き初めです。

カゼの引き初めなら薬膳もかなりの効果があります。

「ちょっとカゼっぽいかな」という段階で解表作用がある食事を食べると意外なほど効きます。

薬膳で解表するならネギとショウガの組み合わせが最強です。

ネギどっさりのショウガたっぷりうどん(温かいやつ卵入り)を食べるとよいでしょう。

この場合、ネギぱらぱら、ショウガすこーしでは効きません。

だからと言って辛くて食べられないほど入れる必要もありません。おいしく食べられる限界量を使います。

ただしすでに発熱していて汗がたくさん出ているような場合にはこの方法は使えません。

悪寒が強いタイプのカゼにはカゼの治療薬と併用でもOKです。

注意点

解表作用のあるものは食材でも漢方薬でもマイナスの作用をもちます。それを「傷陰耗気」と言います。

これは気と陰を消耗するという意味です。

ですから解表作用のある食べ物を食べるときは補気補陰にも気を配る必要があります。とは言っても難しく考える必要はありません。

卵入りのうどんに刻んだネギとショウガをたっぷり入れれば解表・補気・補陰が揃います。

大切なのは「ちょっと調子悪いかな」という段階で早めに対策することです。

また解表は短期の勝負です。

数日続けて効果がなければ病気のモトはもう体内に侵入しているので別の方法でケアする必要があるからです。

日本でよく使われる漢方薬の中には解表作用があるものがたくさんあります。そういう漢方薬も短期勝負用の漢方薬です。

漢方薬は長く飲まないと効かないと考えている人は多いと思いますが、実際には長期間飲んだ方がよい薬と短期で切り上げるべき薬があります。

解表薬を長期間服用すると老化を早めたり肌のコンディションを悪化させたりします。

漢方薬を飲むときは専門家に相談した方が無難です。

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