瀋陽の名物食材・鶏架(トリガラ)

遼寧省・瀋陽

遼寧省は中国の東北部に位置します。

遼寧省で最も有名な都市は日本企業も多い大連でしょう。さらに国境の街・丹東も遼寧省の中にあります。遼寧省の東側は北朝鮮との国境なのです。

遼寧省の中で大連に次いで知名度が高い都市と言えば瀋陽です。

大連は沿海都市ですが瀋陽は内陸部にあります。1年を通じての平均気温は10度以下の寒い土地です。

瀋陽は中国東北部の最大の都市と言われていて、物流、経済のハブ的な存在です。

また清の時代の建築物が重要な観光資源になっていて観光客も少なくありません。

重要度のわりには日本ではあまり注目されていない都市はたくさんありますが、瀋陽もそのような都市のひとつだと思います。

瀋陽の食文化

大連の食文化と言えば「海鮮」なのですが、海から離れた瀋陽にも海鮮の名物があります。それが活章魚です。章魚は「タコ」です。

日本人はタコを食べるので瀋陽ではタコを食べると聞いてもそれほどの違和感はありませんが、世界中でタコを食べる地域は非常に限定されているようです。

そういう意味では瀋陽のタコ食文化は独特だと言えるでしょう。

しかも「活章魚」は「生きたタコの踊り食い」料理なのです。

瀋陽では屋台でタコの踊り食いを食べられるのです。

屋台の水槽には食べられる予感に怯えるタコがじっとしています。サイズは手のひらに乗るくらいのものが一般的です。

客の注文が入ると屋台の主人がタコをつかみ出してブツ切りにします。それを皿に載せ、醤油、ワサビなどの調味料と一緒に客に手渡すのです。

タコはブツ切りにしても動きます。吸盤の吸着力も消えません。

ですから吸盤を噛みつぶしてから飲み込まないと、のどに吸盤が吸い付くそうです。

ワサビを使ったり、ナマで食べるという流儀は中国の伝統的な風格とは一線を画しています。

遼寧省の食文化には韓国の食文化の影響が及んでいます。

遼寧省には朝鮮族と呼ばれる人たちがたくさん暮しているので、朝鮮半島の食文化と共通する食の流儀が見られるのです。

中国人の説明によれば生きたままのタコを食べる習慣は韓国にもあるそうです。それがなぜか瀋陽の名物的な料理になっているのです。

活章魚は多くの中国人にとってはゲテモノ扱いされる料理です。ほとんどの観光客は遠巻きに眺めるだけで自分では食べません。

鶏骨架(トリガラ)

もうひとつの瀋陽名物である鶏骨架は中国人観光客なら必ず食べる一品です。

鶏骨架は料理の名前ではなく食材の名前です。日本語で言えば「鶏ガラ」に相当します。

日本では鶏ガラはスープを取るために使うモノというイメージが強いと思います。

しかしながらそれは鶏骨架の一面に過ぎません。鶏骨架は揚げてもよし、煮てもよし、焼いてもよし。実は非常に用途が豊富な食材なのです。

ですから鶏骨架は中国全土で食されています。そんな中でも特に瀋陽での消費量が多いので瀋陽の食べ物と言えば鶏骨架なのです。

廃物利用的な食材のように見えますが、テキトーに選んではいけません。例えばいったん冷凍したものは格段に味が落ちるそうです。

現在の瀋陽では鶏をしめて内臓、肉、その他の独立して商品になる部分を切り落とした後の「骨架(ガラ)」を調理するのですが、もともとは蘭州ラーメン屋が鶏ガラスープをとったあとのガラを捨てるのが惜しいのでタダで客に提供したのが始まりだそうです。

上海の蘭州ラーメン屋は牛肉でスープを取るのですが、瀋陽では鶏ガラが一般的なのかもしれません。個人的には鶏ガラスープのほうが好きなのですごく気になります。

それはともかく、中国では骨の周囲のわずかな肉を食す料理が多数存在し、しかも人気が高いのです。

骨についた肉を食べると人間の脳に刻み込まれた動物的本能が刺激されるのかもしれません。

薬膳的功能

中国人ではタコはイカに比べるとかなりマイナーな食材ですが、医学書にはちゃんと効能が載っています。。

タコのサーマルタイプは平性、功能は益気養血です。あまりにも無難な効能です。

また肌のコンディションを改善する作用もあります。タコが一般的な食材であることは日本人の幸せと言えるでしょう。

鶏骨架の功能はトリ肉と同じと考えます。

トリ肉のサーマルタイプは平性と考えておけば良いでしょう。ただし文献によっては温性です。

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