古都・開封
北宋時代の都・開封には開封灌湯包(上の画像)、鯉魚焙面、一鴨三吃、八塊鶏などの名物料理がたくさんあります。
また中国語で「小吃」と呼ばれる軽い食事のバリエーションも豊富です。
開封灌湯包や鯉魚焙面は観光情報を検索すればたくさんヒットするのでそちらを見ればどんなものかわかります。
この記事では日本からの観光客がわざわざ食べるとは思われないけれども中国人のあいだでは人気がある開封の「小吃」の中から涼粉と西瓜醤を紹介しましょう。
涼粉
涼粉という食べ物は中国各地にあります。これは米や豆の粉を熱湯で溶いてから冷やして固めたものです。
開封は緑豆の産地ですから開封の涼粉の原料は緑豆です。
北宋時代の開封の風俗を記録した『東京夢華録』にはすでに開封の涼粉が載っています。
涼粉はうどんのように細長く切ったり板状に切ったりして調味料と和えて食べることが多い食材です。
中国では一般的な食べ物です。大きなレストランのメニューに「冷菜」として載っていますし、上海の屋台でもよく見かけます。
涼粉という名前の通り冷えた状態で食べるのが一般的です。
ところが開封では板状に切って炒めて食べる炒涼粉が主流なのです。
炒めたものをそのまま食べたり小麦粉をハンバーガーくらいの大きさに焼いたものに挟んで食べたりします。
涼粉を炒めるときに使う調味料は各店舗ごとに違います。それぞれの店が「秘伝のたれ」で味付けをして炒涼粉を作っているのです。
その「秘伝のたれ」の原料のひとつが西瓜醤なのです。
西瓜醤
西瓜醤の「西瓜」はスイカです。ですから西瓜醤を日本語に訳せばスイカ味噌になります。不思議な名前ですね。一体どんな食べ物なのでしょうか。
西瓜醤の作り方には各家庭に先祖伝来の方法があって決まった作り方があるわけではありません。
ですから作る人によって味が違うのです。その結果、西瓜醤を使って作る炒涼粉の味も作る人によって違うのです。
でも「人によって違う」ではみなさんには何のことだかわからないでしょうから西瓜醤の作り方の一例をご紹介しましょう。
まず材料ですが、大豆(乾燥したもの)、小麦粉、塩、スイカを重さの比率で10:1:2:15になるように準備します。
大豆、小麦粉、塩が材料になることからもわかるように味噌の一種に違いないのです。
大豆、小麦粉で味噌玉を作り、発酵したところでスイカと塩を加えてカメで保存します。
2カ月くらいで食べられるようになります。
ショウガやウイキョウなどを加えることもあるようです。
スイカのタネは一緒に発酵させると香りがよくなるそうです。
ちなみにスイカも開封の特産品です。
涼粉は簡単に作ることができる!
涼粉は米の粉から作ることもできます。中国では自宅で自作する場合にトウモロコシの粉を使うこともあるようです。
作り方は簡単!
まず米粉を水に溶きます。それを沸騰した湯に入れてスバヤク混ぜます。湯に入れる直前に火は消しておきます。
そうすると大量の糊のようなものができるのでそれを型に移します。
粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やします。硬いゼリーのように固まれば完成です。
中国では薄く切ってラー油などと和えて食べるのが一般的ですが、開封の炒涼粉のように炒めて食べたほうが断然おいしいと思います。
米の粉で作ればサーマルタイプは平性、功能は補中益気です。
補中は脾胃の機能向上を意味すると思って下さい。
米はどんな人が食べてもほぼ例外なくメリットがある食べ物なのです。